SDSを利用するお客様にとって、低遅延は高性能のSMBを実現するうえで不可欠な要素です。RDMA(SMB Direct)を使用すれば、SMB実装でのCPU使用量を節約してパフォーマンスの低下を抑えることができます。

ソフトウェア定義ストレージ(SDS)ベンダーにとって、SMBのパフォーマンスは極めて重要です。

SMBにおける遅延は軽視できない

エンタープライズネットワーキングにおいて遅延とは、特にデータパケットがある宛先から別の宛先まで移動するのにかかる時間を指します。企業内のサーバーとクライアントの間で大量のデータが移動すると、遅延による速度低下が発生し、パフォーマンスと生産性が損なわれる可能性があります。これは、企業ネットワーク内での迅速なデータ共有に依存する業種では致命的な問題となります。そのような業種の1つとして挙げられるのがメディア&エンターテイメント(M&E)業界です。コンテンツクリエイター(映画やアニメーションのポストプロダクションに携わるスタジオなど)では、4Kや8Kでの映像制作への移行が進んでおり、ファイルサイズや帯域幅のニーズの増大により、映像編集や処理に課題が生じています。遅延の増加はパフォーマンスを大幅に低下させ、チーム全体でのコンテンツ制作を遅らせる可能性があります。これはコストの増大だけでなく、顧客エクスペリエンスにマイナスとなります。

RDMA(SMB Direct)とは

RDMAは、情報交換と高スループット、低遅延のネットワーキングを可能にするダイレクトメモリアクセスです。CPUを介さずにコンピュータのメモリにアクセスすることで、これを実現します。SMBファイルサーバーは、RDMA over Converged Ethernet(RoCE)を利用できます。これは、SMB Directとも呼ばれるものです。この実装により、データパケットは宛先(サーバーとクライアント)に関連するCPUをバイパスできるようになります。CPU使用率が大幅に低減されるため、遅延が非常に低く抑えられます。このプロセスにより、顧客のネットワークがごく一般的なネットワークインフラストラクチャの場合でも、高スループット、低遅延、低CPU使用率を実現できます。

SMBサーバーパスの短縮

SMBファイルサーバーとそのクライアントの間でやり取りされるデータは、ネットワークスタックの複数のレイヤー(正確には7つのレイヤー)を移動することになります。SMBファイルサーバー上のアプリケーションは、クライアントに到達するために、コンテキストスイッチを実行し、CPUを介して情報を送信するのが一般的です。以下の図1は、SMBサーバーとそのターゲットの間を行き来する際にデータが移動する必要があるパスを示したものです。図は2つの部分に分かれており、上2つの図はRDMAを使わない場合のデータパスを示しています。そして下2つの図を見ると、RoCE NICのおかげで、パスが大幅に短縮されることがわかります。SMB DirectではTCPスタックがバイパスされ、クライアントとサーバー間のリモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)が可能になります。

RDMAによる遅延の削減により、メディアおよびエンターテイメント業界のお客様は大きなメリットを享受できます。このような業界では大量のデータ交換や高フレームレート(fps)での再生が必要とされますが、RDMAを使用することで、そのような要求にも応えることができます。

RDMAがもたらす具体的な違い

すべてのSMB実装がRDMAをサポートしているわけではありません。Fusion File Share by Tuxeraは、RDMAなど一連の技術的な機能を備えているため、SDSベンダー各社は、メディア&エンターテイメント業界のお客様に対して、高性能で低遅延のエンタープライズストレージを提供できるようになります。

RDMAがネットワーク遅延にどのような影響を与えるかを調べるため、Frametestを使用して、Fusion File Share by Tuxeraと、RDMAをサポートしていないオープンソースのSamba製品を比較しました。Frametestは、ローカルボリュームやネットワークにマウントされたボリュームからのファイル読み取りI/Oをテストするためのアプリケーションです。パフォーマンスをテストするために、さまざまなパラメータ(スレッド数など)を使用するシミュレーションを作成できます。このアプリケーションはコマンドラインツールであり、指定された数のフレームをディレクトリ内に作成します(今回のテストでは、Frametestのパラメータを2,000個の4Kフレームに設定しています)。そして同じコマンド内の別のフラグが、指定されたスレッド数でフレームを読み取り、IOのヒストグラムと実行メトリクスに関する簡単なレポートを出力します。

RDMAのメリットを活用したFusion File Shareと、いかなる種類のRDMAも使用しないオープンソース製品との間には、遅延に大きな差が生まれました。Fusion File Shareは一貫して低い遅延を維持しており、8スレッドの場合、オープンソースの製品と比較して4分の1の遅延を実現しています。Fusion File Shareはクライアントに対し、ネットワーク経由でアクセスした場合でも、ローカルボリュームに直接アクセスした場合の約80~85%のスループットを提供します。

RDMAの概要はこちら:

結論

M&Eなど、大量のデータを迅速に転送する必要がある業界では、ネットワークファイル共有の遅延を常に低く保つことが、高いパフォーマンスを実現し、それを維持するための重要な鍵の1つになります。このようなSDSを利用するお客様にとっては、生産性が大幅に向上し、フラストレーションや無駄な時間が大幅に削減されることになるからです。


当社が提供するエンタープライズグレードのSMBサーバー実装、Fusion File Share by Tuxeraで、遅延を最低限に抑えましょう。

Fusion File Shareを入手する